SketchUpを1週間で速習してみた。この前やってみると書いたのが10月19日で実際に始めたのはその後だからほぼ1週間で一応モデリングできる操作は覚えた。
ブログ「もんく+a」から、建築仲間 Team OBASU の活動記録ブログとしてリロードしました。
アイデアコンペへの参加が活動の中心です。
従ってここはTeam OBASUの頭の中そのものと言えます。
(2021年~)
2021/10/30
SketchUpを1週間やってみてわかった事
SketchUpを1週間で速習してみた。この前やってみると書いたのが10月19日で実際に始めたのはその後だからほぼ1週間で一応モデリングできる操作は覚えた。
2021/10/19
SketchUpを使ってみる事にした
パネル製作ツールと言うか、設計やデザイン全般に使うツールについてちょっと困っている。昔はAutoCADのコマンドを覚えていたのだけれど、今はAutoCADを持っていない。そして、サブスクリプションの購入価格が高く、とても個人では無理。
AutoCADに相当するCADとレンダリングまでできるツールを探していたのだけれど、どれも企業向けで高価だった。だからと言ってヤフオクで怪しいライセンスを買う事は絶対できない。ライセンスの出所がはっきりしない物を使ってしまって泥棒になると損害賠償請求されたら大変だ。
ある程度ならCADが無くともドローソフトでどうにかなる。けれども数値で位置等を指定しなければならないので限界はある。ドローソフトでもmm単位で位置指定できるけれども、多少ズレが発生したりしてモヤモヤする。
そこでいくつか無料で使えるCADソフトを試してみた。最有力だったのがFreeCADだったけれど、これはなぜか2D図面に弱い。描く事は可能だけれどもチュートリアルでも他で描いたものを持ってきた方が効率的だと言っている。それではデザインを検討しながら2Dと3Dを行ったり来たりができないので良いソフトウェアだったけれども諦めた。その他にも3Dモデリングソフト等含めて検討したけれど、AutoCADのようにオーバーオールで面倒見てくれるものは少ないようだった。
仕方なく、最後にたどり着いたのがSketchUp。ずっと以前にSketchUpは少しだけ試したことがあったけれどもほとんど忘れている。そして操作が簡単なので細かい描写がどれだけできるかが不安だった。もっともこれは当初希望したように完全にAutoCADの代替品ではなくて、その一部をカバーするだけのモデリング用ソフトではある。
とは言え、最新版でないにしろオフラインで使用できるSketchUp Make 2017と言う無料バージョンを供給元のTrimble社がダウンロード(クリック)させてくれるのでそれでどこまでできるか確認してみる事にした。
なのでしばらくコンペ提出は停止するかもしれない。
「次世代店舗アイデアコンテスト2021」提出案
前回の説明でだいたい想像ができたかと思うけれども、このようなシステムを提案した。
お金にならないものに価値を与えると言う事は、二酸化炭素排出権の取引と同じようなものだ。どうせならアマゾンやインドネシアなどの密林地帯に生えていて地球上に酸素を供給してくれている木、海にミネラルを排出して魚を育てている砂漠にもお金を払ったらどうかとも思うが、どうなんだろう?
とりあえず、ここでは景色にお金を払うと言うシステムにした。景色にお金が払われれば景観の保存→環境保持と人々の意識が移っていくのではないだろうか?そしてお金は当地に必要なインターネットや接続機器とそのメンテナンスに使われれば、識字率を上げ新しい産業を興すもとになり得るかもしれない。
作成しながら3枚にするか2枚で止めておくか迷った。3枚目は文字による説明ばかりとなり見た目が面白くない。読まない可能性もあるし、提案事項の単なる補足に過ぎない。しかし、最終的には3枚構成にした。
以下が最終案。
2021/10/16
無責任な未来
コンペの情報を検索していて気付くのはあまりにも多く「未来の」と言う言葉が使われている事だ。先日のスターハウスのコンペも「未来にある暮らし」と未来が使われていた。
冷静に考えて、そこで使われる未来が表すものは何の事だろう?
言語上の未来は今日から見た明日も未来であるし、1年後や10年後、そして100年後もどれも未来だ。しかしながら建築で未来となると少し限定される。なぜなら、建築物の寿命はどんなに立派な建物でも概して50年持てば良い方であるし、人の生活のリズムを考えれば20年かそこら経つうちに必ず区切りが来る。最近ではテクノロジーの進歩が速いために他人とのコミュニケーションの在り方や生活スタイルまで5年以内に変わる事さえある。
それを思いつつ未来の建築を模索するとすれば、さて、何をどうすれば良いのか?どこを前提条件にしてデザインすればよいのだろうか?どこまでの時間を考えれば良いのか?そしてさらに大きな問題は、今現在から想像不可能な将来の時間の中で起こる多くの変化に対して自らの建築と言うものはそれにどう対応する事を想定できるのかと言う事だ。
携帯電話が世に出た当時、多くの人は街角でどこでも電話してその場にいない人と話をしている姿はメンタリティに合わず、携帯電話は普及しないだろうと言った。普及するにしても高級車を乗り回すビジネスパーソンが使う程度だろうとはっきり言ったし、その意見を多くの人は支持した。スマートフォンが出た時には携帯電話ほどではないがやはり抵抗はあった。結果は知る通りであるけれども、要は多くの人はそれが大きな変化の兆しだとは想像できないのだ。
そして今、何が言われているかと言うと、もちろんそれは新型コロナの影響で家で仕事をするようになった、プラベートな空間だったはずの空間にそうでないものが入ってきてと言う話。そしてその為に建築でできる事は何かと言う話でもある。しかし、これは未来予測かと言うと、それは半分程度の事で、半分は突然発生した状況に修正して合わせると言うものだ。予想側の半分はそれがこれからも、つまりコロナが心配無くなったとしても続くのではないかと言うところになる。普通の意味での未来予想とは言い難い。
そこから先に対する答えはほとんど無い。できないだろう。
突然現れたコロナと違い事態が線形に進む変化で有ればそれでもまだマシで、例えば国内木材が余り始めた時、そしてカーボン排出の問題が重なった時にはこれからは木材をと言う動きが採られた。これは現在の状況から予測可能な未来への対応と言える。
しかしそれ以上に何が起きるか?しかも非線形で広範囲となるともうお手上げだ。
こうした議論は過去にメタボリズムの時代に既に行われていて、既に決着を見ている。答えはざっくりと言ってしまえば「諦める」だ。予測できない未来に対応するには変えられるようにすると言うもの。巨匠達にして答えはこれだ。
とすると、「未来の」を要求する時にそれは何を意味すると考えれば良いのか?、と一周回って元のところに返ってくる。この今現在、多くの場所で「未来の」建築への回答を求めている。そのいくつかはメタボリズム以上の答えを求めているだろう。今作って100年後にも200年後にも何らかの形で存続できる方法とは何か?ダメになったパーツを交換し、利用価値の無くなったプランを変更しと。
けれども別の一部で求めている答えは非常に無責任なものもある。未来予測してそれに合う建築をしなさいと、ただ単に無邪気に言っている。そうした問いに対する答えはさらに非常に無邪気なものである。無邪気な答えはそれが未来永劫固定された建築になりそのさらに先の未来は変化しない事になっている、決定版の未来像。空中に浮いた想像上の未来だ。つまりそれはSFに等しい。
だけれども、人間がそうした思考をしてしまうのも、人間の性質としてある意味仕方ないかも知れない。そこにあるのは変えたいと言う欲求や新規性を求める欲求だから。そこに現在の現実の問題解決を絡ませると何とは無しに説得力を得る。面白みを感じさせ、現実感を滲ませる。けれども、非常に無責任のようでもある。
「KOKUYO DESIGN AWARD 2022」提出案 その2
「KOKUYO DESIGN AWARD 2022」提出案 その1
これはスタディ中のもの。
8月22日分の投稿でも書いたが、パネルはあえてデザイナーが作ったクールなスタイルにはしていない。クールなスタイルでまともに作成して彼らに勝てる自信が無いのは言うまでもないが、集計用紙は事務仕事や現場仕事で使う物。だからそれにあえて合わせた。工場の現場から出てきた提案書のようなイメージにしている。デザインとは何?と言う問いにデザインはそればかりじゃないぞ!と言う回答のつもりでもある。
背景はおとなしく白ではなくて段ボール風。段ボールにいろいろ余計な紙が貼ってある。フォーマットが決められているのでそれにできるだけ従っているが、プロダクトが紙製品であってハサミやペンではないので少しそれに合わせて変えてしまった。
提案する製品は集計用紙。
通常の集計用紙は紙に単に何本もの横線が印刷されているだけ。それをどう使うかはユーザーが考えると言う簡単な仕組み。それを数字を記入するとグラフを描いたと同じように視覚化できる用紙に変えたのがこの提案。これは実際に自分で作って使った(ネパール人やバングラデシュ人に使ってもらった)事がある。これならエクセルより100倍速い。100倍高速に自分等の作業の結果がわかり、そしてすぐその場でフィードバックが出てくるから素早い修正が効く。そして現場管理者がこの集計用紙を見た時にも一目で問題がわかると言う仕組みだ。数字の羅列だけでは見落としが多くなるがそれが避けられる。
これが提出したパネル。スタディとそう違わない。よく見ると指紋や汚れがたくさん付いているように見えるが、それも追加した。わざと汚れた手で作成したように見せている。実際の指紋や汚れではなく、それ風に作成したものを使っている。
2021/10/15
「スターハウスの未来にある暮らし」1次審査通らず ページ2/2
1次審査結果発表 | UR都市機構 (クリック)
※前の投稿記事からの続きです。
次は「Health-chi」について。
これは一目で面白い。こちらも大量供給され規格化された住戸群である団地の時代からどうにかコミュニティ作りをしよう、街作りをしようと言うトレンドがあった事を念頭に、さらにその次のコミュニティの在り方を模索したもの。時間のコンテキストを良くわかっていて、しかもそこから出てくる案が、それはそうだけど、物に展開すると奇想天外に見える。素晴らしい発想としか言いようがない。1つ目の作品「縁-ふち-」と2つめの「まちに風吹く、ソーシャルハウジング」を足して「健康」のスパイスをかけたら全く違ったものになったような感じだ。「スターハウスの未来にある暮らし」1次審査通らず ページ1/2
1次審査結果発表 | UR都市機構 (クリック)
昨日の夕刻にメールで通知があり、1次審査の結果が出ましたとの事。結果は、通過できませんでした。通過した方、おめでとうございます。そして、勉強のためにこれからその6作品のトレース(図ではなくて考え方や表現方法について)させていただきたいと思います。
まず、作品「縁 -ふち-」について。
2021/10/14
「ALTERNATE REALITIES 2022」面白いコンペ発見
Alternate Realities | Architecture Competition - the Charette(クリック)
(※画像はWorld Architecture Community(クリック)からのもの)
何が面白いかと言うと、建築環境を自分の想像力で決めて良い事。重力の存在、場所、その時代の技術レベルその他、要は題名にある通りに「代替現実」の中でデザインする。と言うより代替現実そのものをデザインすると言う要素も含む事になる。
そして主催者からのメッセージはこれ。
Unleash your creativity – Surprise us!
- Be critical – Say something about the world.
- Striking visuals – Capture the imagination of architects and non-architects alike.
- No design is too wild!
創造性を解き放ち我々を驚かせろ!
- 批判的であれ。世界に物申せ。
- 印象的なビジュアルを作れ。建築家もそうでない者でも同等に想像力を掻き立てろ。
- どんなデザインもワイルド過ぎる事はない!
エントリー期限:2021年12月30日まで (早期エントリーあり)
提出期限:2022年1月30日
エントリー料金:USD35、45、55 (エントリーの日による)
賞:名誉のみで賞金はありません。
ピョートル・スミエコーウィッチュ「ザ・ムーン・キャチャー」(2021年9月12日の記事)でも少し触れたのだけれども、自分自身で自分の心に制限を加えていて常識的でつまらない考えに囚われているのではないかと思っている。たぶんそれは間違っていないはずで、誰もが全く想像できないような何かを生み出す事を自分自身で諦めている可能性が高いだろう。
その次の段階へ行けるのだろうか? ねえ、せんたろ~さん。(ここは業務連絡。)
2021/10/13
隈研吾 批判するのは簡単だけれど
今朝Twitterを見ていたところ、隈研吾氏の「ユゥーアップ-四ツ谷」が話題に上っており、否定的な意見のコメントが長く連なっていた。建築関係者や建築を学ぶ学生のコメントはほとんど無いようだった。
写真を見れば確かにいろいろ言われるのはわかる。
Twitter(クリック)を検索すると出てくる。
2021/10/12
「KOKUYO DESIGN AWARD 2022」その2 応募 そして変更
昨日応募提出したが取り下げて変更し再提出した。
コンセプトの部分のみ変更した。初期案では文章のような形でコンセプトを書かずに絵のみにしていたが、提出後に冷静になって考えると独りよがりだったような気がした。シャワーを浴びてふっと一息と言うところで...そう言う場面ではもう何も考えていないのだけれども、脳みそはなぜか勝手に動いているようで「違うな」と気付いた。
ポイントは、デザインアワードの課題に書かれているここだ。
「デザインは、逆らうことができる、批判することができる、多様性を示すことも知識や理想を壊すこともできる。誰も信じて疑ってこなかった真実にもう一度フォーカスして、モノとデザインの関係を再構築しよう。社会も思想も人も暮らしもうごめいているときに絶対的なものなど何もない。グランドデザインはUNLEARNINGの先にある。」
この部分に応えていると言うのをきちんと文章にして示すべきだと考えた。提案としてはもちろん応えているし、答えの1つを出しているはずだ。けれどもパネルは伝えるためのものなのだ。
提出案は2021年10月16日の締切後に公開します。
2021/10/11
「KOKUYO DESIGN AWARD 2022」その2 応募
2つ目のアイデアで応募完了。
提出パネルのデザインは本当に難しい。本体のデザインは機能で決まる部分が多いのでプロトタイプとしてシンプルを心がければ良いのだけれど、パネルに関してはそれ以上に見せる必要がある。建築でもこうした工業製品でも図面が入る事が要求され、文字も必要になるのでテンプレートを見本にと言うのがなかなかできない。
KOKUYOデザインアワードの場合はA3縦で最上段左にタイトル、右にコンセプト、中断にデザインと使用シーン、下段に寸法入り図面と決まっている。最初はこれに合いそうなテンプレートを使うのだけれど、すぐにめちゃくちゃになって元のテンプレートとはかけ離れたものになってしまう。こうした物にも癖が出る。良いか悪いかはわからない。
今回の提出品も締切後に公開。
2021/10/09
ノイズ
街を歩くと種々雑多な音が聞こえる。それは自ら聞きたい音ではないのでノイズとして認識される。人の歩く音などはそう大きくはないが人が多いとそれでもかなりのものになる。カツカツとかパタパタとか、一つ一つが明瞭でなく擬声語にもならない音が集団になって入ってくる。そこにオートバイの通り過ぎる音が時々混じり、後ろから調理の音が聞こえてきたり風が吹いて木が揺れたりする。
それらはどれも自分にとって要らない音なのだけれども、聞いているとなぜか安心するような感覚がある。不思議だ。
これは音ばかりではないかも知れない。例えば木を植える。街はコンクリートやガラスや木材でピシッとした直線、直角、たまには弧で構成されている。人が作るにはそれが簡単だ。木は人が植えても建物のように直接にも直角にも平面にもならない。木は時々葉を落として地面をランダムなマダラ模様にする。どう見ても視覚上のノイズだ。
部屋に小物を置く人がいる。お皿、人形、料理が好きなら調理器具が吊るされるし、模型や花、本など様々な物が置かれる。どれもサイズがピシッと同じではないし、色もそれぞれ。これも言ってみればノイズだろう。
音に話を戻すと、音楽を制作する時に音を作るけれど、その時にもノイズを混ぜている。ギター演奏でも音符の音とは別の弦をこするキュッと言うような音が入る。それがまた良かったりする。
そう思うと、自分でコントロールできないノイズは自分にとって良いと感じるものの1つかも知れない。木材にも木目や色むらがありそれは味があると言って好まれるが、それもノイズだ。建築ではボイドと言う言葉があって、建築は場所を全て機能で埋め尽くさず、ポンっと何も無いポイントを作ったりする。またはできてしまう事を喜んだりもする。ボイドは多くの場合ランダムに配置されたりする。まるでデザインしたのでなくて、できてしまった風にその意図を隠すように。それもある意味ノイズを混ぜていると言えないか?
先日、間取について書いたけれど、間取志向では一般に、可能な限り床面積に無駄を作らないようにする。つまりこちらはノイズを排除する考え方だろう。
何が良いか悪いかと言うつもりは無くて、自分の目指す方向はこのノイズの方だなと思う。ノイズ、これを追求して行くべきなのだろうと考える。
2021/10/08
「KOKUYO DESIGN AWARD 2022」その2
今日、メールを受信したところ、コクヨさんからメールが入っていた。
[応募の締切間近!] とビックリマーク付きで。
そこで、もう1つアイデアを思いついてしまったので一つ短期間で仕上げてみる事にした。建築には全然関係ないのだけれども、パネル作成の練習のつもりでやってみる。それに設計は建築より機械系の方が仕事では慣れているので。まあどちらにしても同じようなものだ。
今回のアイデアは、ペンやパソコンで使う機器はもうこれはこんな物だと誰もが普通にそう思うほどに一般的で使い方も形状も決まってしまっている。けれども、いや、それでまだ不便な使い方になっているよね、と感じる事もある。あまりに普通過ぎて誰ももうそれを不便だとは言わなくなっている。人間はおかしなもので、不便な仕事、辛い仕事に慣れて毎日のようにしているとそれをする事が自分の誇りのように考えてしまう。毎日「痛」勤しているのだ。
さて、今は具体的にどんなアイデアかはここに書かないが、もう1つだけ重要なポイントを書いておこう。それは、日本の物作りの原点みたいな事で、「小さく作る」と言う事。アメリカの大きな自動車を見ててんとう虫スタイルの車を作ったり、ウォークマンを作ったりしてきたそのやり方だ。そう言うのは忘れずにさらに何度もやってみるべきじゃないかと考えている。
だから今回は何かを小さくしてみる。
これも個人ではなくてTeam OBASUでの参加。そして最終提出パネルは締切後の2021年10月16日にここで公開します。
2021/10/07
ザ・ムーン・キャッチャーと「間取」の間で
President’s Medals(クリック)
ここは学生作品のコンペサイトで、過去から最近までの受賞作品が山ほど見られる。本当に山ほどある。そしてレベルが高い。世界中の建築を学ぶ学生の作品なのでどうしても良いものが選ばれる。
作品の傾向はバラバラで、実施プロポーザルに近いものから完全インスタレーションまでいろいろ。ほとんど文字が書かれておらず、図面らしきものも無いどちらかと言うと絵画と言って良いものもある。それでも、それでも、それでも、全部建築の中に入る活動のアウトプットなのだ。そして驚く事に、そのどれもが何らかの社会の問題を解決しようとしている点で共通している。あるものは部分的に、そしてあるものは全地球や人類全てに共通する問題を。
ちなみに、2021年9月12日の記事『ピョートル・スミエコーウィッチュ「ザ・ムーン・キャチャー」ピョートル・スミエコーウィッチュ「ザ・ムーン・キャチャー」』(クリック)もPresident's Modelsの受賞作だ。
改めて建築と言うのは幅広くて面白いと感じる。そして、全く平凡な表現をしてしまうが、凄い。
先日、ネットである事を検索していたところ、たまたま誰かに意見を求める掲示板のようなサイトがあった。そこに書かれていた相談は、「家を建てようと考えていて、住宅メーカーが提示した間取に自分たちで手を加えてみたけれどもこの間取で問題無いだろうか?」と言うものだった。質問とともに簡単な平面図が載せられていた。多くの経験者といくらかの設計者がコメントを寄せていて、どれも質問者にとって有用なコメントと思えた。トイレの位置が遠い、台所の収納はそんなに必要ない、通気のためにここに窓を設けた方が良い、リビングが家の中央寄りになっているので暗いだろう、等々。
と、またPresident's Medalsのサイトに視線を戻す。
この間取の問題と、President's Medalsの作品とどう繋がっているのだろう? President's Medalsのインスタレーション的作品まで行かなくても、実際の世の中には多くの建築家がデザインしたちょっと面白い、ちょっと以上に面白い家が多くある。正確にはあるらしい。それらは雑誌や書籍やネットで紹介されるけれども街を歩いていて行き当たる事が少ないから「らしい」で良いと思う。多少実感に欠ける。それらを見るとあの間取とは違った考え方でデザインされているのがわかる。とても個性的だし、物によっては本当に家なのか?と感じる物もある。けれども、それらはちゃんと人が住める家として成立している。個人の欲望を満たし個人の美意識に訴える。そして何らかの生活上の問題を解決してもいる。President's Medalsの作品と間取の中間にいると思われる。
もう1つ別の視点。もし、自分が建てるならどうするだろう?
いや、そこはもちろん、何か心を動かされる建築をデザインするさ、と言いたいところだが、それは本当なのか? 家には窓が必要だよね。では窓はどんな窓でどこに付ける? 通気、換気、そして採光を考える。広い窓の方が気持ち良いよ。南向きだよな。床はそうだな、フローリングで壁の色は明るく白かな? キッチンはリビングに近い場所か、それとも対面にしてダイニング兼用で...と考えて行くとどうだろう? もちろん、そうやってどんどん頭の中をいっぱいにしていけば住宅メーカーさんが持ってきてくれる間取ってものを検討して、ここはちょっと変えたいなと言い出すはずだ。これが普通。
それで、自分の立ち位置をどこに置くかと考える。
あれはもう2ヶ月近く前になるけれど、スターハウスの未来にある暮らしに応募(クリック)した時に感じた事なのだけれど、やはり実施の可能性があるデザインであると実現性を考えないといけないのでどうしても間取のような考え方に偏ってきてしまう。そして提案は1戸分でなくて複数戸になればなおさらで、あまりに個性的にするわけにはいかないと。寝室とバスルームの位置関係、子供のいる家庭が入った場合、和室は必要か?、個々の部屋は狭くても部屋数は多めでないといけないのでは?
それをどんどん考えて行くとオリジナルの設計者が考えて採用されたように標準設計戻ってしまう。そもそもそれが問題だったにも関わらず。
この問題、考えれば考えるほど多岐に渡る議論が必要だ。けれどもこれを議論のネタにするつもりはない。どちらかと、言うと自分が考える中でいくつかの立場を行き来する事ができて、本当に自分にとって(他人の場合もある)何が良いか、どのレイヤーの自由度を優先するかを特定の立場に偏らずにいて考えられるようにしたい。
窓? 自分にとってこの窓必要? 床って平らな方が良いのか? トイレにドア付ける? 玄関は要らないか? 車はベッドの横に停めようか?
自由を求めるには自分も自由な場所に居られないといけないと思うが、自分自身を自分で縛ってしまっている不自由さの方をより多く感じてしまう。普通、建築をやっている人はそう言う、自分自身の事など言わないのだろうが。
2021/10/05
「野生のガラス」提出パネル その2
2つめの作品の提出をした。今回は起案から提出までに3日間だけ。作り物はあるが実施設計ではないので図面無しで済ませた。(前回提出したものは本当にガラスだけなので作り物は無しだった。)
上の絵がJamboard上の検討画面。本当はもっと絵があったが消しながらやったので残っているものは少ない。と言ってもラフスケッチからあまり変更が無いので初期パネルを残す意味も無いが。
このコンペ、一応建築のコンペなのだからもう少し建築的な感じの提案にしたらどうか?と考えないでもないが、何しろお題が「野生のガラス」と言うようなどうしても禅問答なのでそれに対応する案を出して良い...と言うよりは出すべきなのじゃないかと思う。だいたい巨匠と言われる建築家のスケッチもそれ単体で見たら何だこりゃ!的なものなわけだし。それに比べればこれでも「確かに作ろうと思えば作れるよね」レベルだと思うからかなりマシのはず。寸法は書いてないけれども。
寸法は書かないけれども、建築として何をやっているかと言うと、それは「社会問題の解決への提案」だ。建物を作るだけが建築の仕事ではないと考えるので。
我々は使用し終わったガラス(今回は「コントロールからこぼれ落ちるガラス」)を廃棄と言う名目で見えない場所に「隠している」。そしてそれ以上その物の事を考えず、忘れてしまう事で生活を成り立たせている。忘れられたその物は死体としてずっとそこに置かれたままとなる。その理由は、最近はリサイクルや持続可能な社会と言われるが、「それするにはお金がかかるんだよ」と言う各論によってさらに放って置かれるかもしれない。つまり、資本主義の論理にはなかなか抗えないのだ。
と言うわけで、やる事は簡単だ。活きられる場所に置いてやろう、と言う事。
とは言え、それはどこだ?と考えなければいけない。そう、誰かの邪魔になってはいけないわけだし。そこで思いついたのは、頭の上。人が歩く上の空間はほとんど誰も使っていない。上を見れば空が見える。そこに置こう。そうすれば完璧ではないが強い雨は弱まり、強い太陽光は柔らかになるだろう。それで彼らはずっと生きていける。
提出日は2021年10月3日。この記事は提出期限の後に予約投稿で公開。
「野生のガラス」提出パネル その1
スタディ08でどうも複雑すぎてわかり難いと感じたので、スタディ09以降全く変えてみた。1枚で短編小説を読んだ感じになるようにしたかった。最上段にセリフを1つ入れてそれが全てを説明している風になっている。(そんな小さな文字を読んでもらえるか?と言う疑問はある。)細かい調整をしながら中央奥に人物を入れ、手前の自分との関係を強調している。やはり空間から何かを感じても最終的には人と人の関係に影響するものだろうと考えたから。
2021/10/04
大富豪による巨大人工都市計画で理想郷の夢を見る
大富豪マーク・ローリー氏、総工費4000億ドルの巨大都市建設計画を発表 - CNN (クリック)
先日(2021年9月28日)に「出しゃばり過ぎない「塔」の提案に感銘」と言う記事を書いたが、ちょうど「大富豪マーク・ローリー氏の巨大都市建設計画」で本当に都市を作る計画に関する記事が出てきてこちらはどうなのか?と気になって読んでみた。
都市の名称は「テローサ」。記事で真っ先に注目されているのはやはり技術の側面だ。「環境に配慮した建築、持続可能なエネルギー生産、さらに渇水にも耐えうるという水道システム」、「超高層ビル、エクイティズムタワーは、高架貯水槽、エアロポニックス(空中栽培)農園、生産した電気の共有・分配が可能な太陽光発電屋根が装備され、レイアウトプランは「自宅から15分以内で職場、学校、各種公共施設に行ける」となっている。
そしてその技術よりも特に注目すべきポイントは、「透明性のある管理・運営と『社会の新しいモデル』。住民らが意思決定や予算編成に参加できる。」、「世界で最もオープンで、最も公正で、最も包括的な都市」と言うところ。
なぜこの点が技術よりも注目すべき点になっているかと言うと、マーク・ローリー氏の真の目的は「資本主義の重大な欠陥を是正し、より公平で持続可能な未来を築く」事となっているからだ。もし本当に可能であれば、まさに人間としての理想郷に近いものができるかもしれない。
もし「できれば」だけれども。
短い記事の文章から判断してしまっては良くないが、第一段階で5万人規模の都市、40年後に500万人に達する巨大な都市になるとして、そこに住み着く住民の多くがオープンで公正な都市の何らかの意思決定に本当に参加するものだろうか?
どうしてそうした懸念が生じるかと言うと、そもそも都市とは何かと言うところから来る。都市と言うと一般に多くの先進機能が集中しそれを目当てに多くの人が流入する場所である。平たく言えばカッコイイ場所だ。だから多種多様な人々がそこで出会い、そしてさらに何か素晴らしいものが生み出される。それは一面として正しい。けれども、それとは逆の面の方が実は大きいと考える。つまり、人が集まってその場所を運営する事によって何もしない、何も考えないでそこに居る人間が相当に多くなると言う事だ。なぜならば、便利だから。所得から一定割合の税金を支払う事ができ、ある程度の家賃や公共料金と生きるために必要なコストを負担できさえすれば郊外や農村に住むよりは相当に便利だ。ただそこに生きるためだけならば何も積極性は要らない。街が便利であればあるほど自分自身で考える必要すら無くなる。それが都市であると言うのも別の一面として正しいはずだ。
500万人が意思決定に参加するとしたら、それは本当に革命的であると思われる。もちろん全く方法が無いとは思わないが、それを実現するには既に言われているスマートシティの構想を相当に超えた何かが必要になると考える。
追ってそうした事に関する報道や資料が出てくる事を切に望みます。
建築におけるおとぎ話、SF、空想と実装の間に
(仮称)ふくしま農業人材育成センター施設設計プロポで、辺見設計・C+A共同企業体が最優秀者に選定。技術提案書も公開(クリック)
これは個人で参加できないコンペのプロポーザルとその結果。5者の提案書とその講評が全てpdfで公開されていたので読ませていただいた。ちょっと考えさせられるものがある。
まず上から提案書を1つづつ見ていった。
最優秀となった辺見設計・C+Aさんの提案タイトルは「先人の開拓スピリットを未来へつなぎ、新時代のリーダーを生み出すクリエイティブ・プラットフォーム」、再生建築研究所・八光建設さんのタイトルは「農業の今と未来をつなぐ校舎--おおらかな風景とあたらしい文化をつなぐ小さな小屋--」このあたり、志がとても高いのがわかる。それ以外はもう少し現実的なタイトルになっているけれども、内容を読ませていただくと同じようにやはり志はとても高い。どれも素晴らしい提案になっている。
提案課題は5つ。
- 県農業の持続的発展に向けた先端技術(スマート農業)を学べる施設
- 良好な教育・研修環境の中で学生や研修生が快適に過ごせる施設
- 学生等の自らの学びと農業者、指導者等と多様な交流を促す施設
- 伝統と革新、地域に配慮した意匠、県産材の積極的な活用とエネルギー性能が高く持続可能性に優れた施設
- それ以外に提案者が特に重要と考える提案
2021/10/01
「野生のガラス」もう1つ提出しようか?
「野生のガラス」(クリック)コンペの応募締め切りが10月4日となっているが、突然、もう1案出したくなった。時間が無いので急ぐ。幸いにも明日、明後日は土日で休暇だ。時間がある。このコンペは実施コンペではないので詳細設計は無くて構わないはず。急げばできるかもしれない。
人の管理から零れ落ちたガラスたちと言えば廃棄される色ガラス。リサイクルされるようになってはきているが未だに廃棄処分が多い。分別が難しいからだ。そして廃棄されて地面の上に置かれているとそのままずっとそこにあり、腐らない、風化しない、土には返らないまま死体としてそこにずっとある。
アイデアは単純だ。置き場所を変えるだけだ。あまり使われる事のないどこかにこれを移動してやるだけで生き返ると言う事はないだろうか?と言うもの。
あった、あった、その場所が。
これ以後は提出できたら公開予定。急ごう。
「スモールハウスコンペティション2021- bigHOUSE」
スモールハウスコンペティション2021 応募ページ(クリック)
コンテナハウスの商品化を前提としたコンペだそうです。
(以下の概要は間違いがあるかもしれないので公式ページで確認してください。)
募集内容
- 木製コンテナデザイン(コンセプト、想定ターゲット含)
- 最大サイズ:間口2,350mm × 奥行5,460mm × 高さ2,800mm
- ただし、可動を前提とし基礎に連結しない。
提出物
- A3用紙(片面1枚、横向き)最大5枚程度(3~5MB以内のpdfでも可)
- 図面、パース、ドローイング、CG、模型写真など
- コンセプトや作品の特徴、アピールポイントは文章にてまとめる
締切:2021年10月31日 (日)
- 【一次審査】2021年11月10日(水)
- 【二次審査】11月19日(金)、オンラインプレゼンテーション
- 【結果発表】11月30日(火)、公式ホームページにて
賞
- 最優秀賞 (1点):賞金30万円
- 優秀賞 (1点):賞金20万円
- 入選 (3点):学生部門・プロ部門・アマ部門 各賞金15万円
- 社長賞 (1点):賞金10万円
- 工場長賞 (1点):賞金10万円
- 営業部長賞(1点):賞金10万円