2021/10/04

大富豪による巨大人工都市計画で理想郷の夢を見る

 大富豪マーク・ローリー氏、総工費4000億ドルの巨大都市建設計画を発表 - CNN (クリック)

先日(2021年9月28日)に「出しゃばり過ぎない「塔」の提案に感銘」と言う記事を書いたが、ちょうど「大富豪マーク・ローリー氏の巨大都市建設計画」で本当に都市を作る計画に関する記事が出てきてこちらはどうなのか?と気になって読んでみた。

都市の名称は「テローサ」。記事で真っ先に注目されているのはやはり技術の側面だ。「環境に配慮した建築、持続可能なエネルギー生産、さらに渇水にも耐えうるという水道システム」、「超高層ビル、エクイティズムタワーは、高架貯水槽、エアロポニックス(空中栽培)農園、生産した電気の共有・分配が可能な太陽光発電屋根が装備され、レイアウトプランは「自宅から15分以内で職場、学校、各種公共施設に行ける」となっている。

そしてその技術よりも特に注目すべきポイントは、「透明性のある管理・運営と『社会の新しいモデル』。住民らが意思決定や予算編成に参加できる。」、「世界で最もオープンで、最も公正で、最も包括的な都市」と言うところ。

なぜこの点が技術よりも注目すべき点になっているかと言うと、マーク・ローリー氏の真の目的は「資本主義の重大な欠陥を是正し、より公平で持続可能な未来を築く」事となっているからだ。もし本当に可能であれば、まさに人間としての理想郷に近いものができるかもしれない。

もし「できれば」だけれども。


短い記事の文章から判断してしまっては良くないが、第一段階で5万人規模の都市、40年後に500万人に達する巨大な都市になるとして、そこに住み着く住民の多くがオープンで公正な都市の何らかの意思決定に本当に参加するものだろうか?

どうしてそうした懸念が生じるかと言うと、そもそも都市とは何かと言うところから来る。都市と言うと一般に多くの先進機能が集中しそれを目当てに多くの人が流入する場所である。平たく言えばカッコイイ場所だ。だから多種多様な人々がそこで出会い、そしてさらに何か素晴らしいものが生み出される。それは一面として正しい。けれども、それとは逆の面の方が実は大きいと考える。つまり、人が集まってその場所を運営する事によって何もしない、何も考えないでそこに居る人間が相当に多くなると言う事だ。なぜならば、便利だから。所得から一定割合の税金を支払う事ができ、ある程度の家賃や公共料金と生きるために必要なコストを負担できさえすれば郊外や農村に住むよりは相当に便利だ。ただそこに生きるためだけならば何も積極性は要らない。街が便利であればあるほど自分自身で考える必要すら無くなる。それが都市であると言うのも別の一面として正しいはずだ。

500万人が意思決定に参加するとしたら、それは本当に革命的であると思われる。もちろん全く方法が無いとは思わないが、それを実現するには既に言われているスマートシティの構想を相当に超えた何かが必要になると考える。


追ってそうした事に関する報道や資料が出てくる事を切に望みます。

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