2021/10/15

「スターハウスの未来にある暮らし」1次審査通らず ページ1/2

1次審査結果発表 | UR都市機構 (クリック)

昨日の夕刻にメールで通知があり、1次審査の結果が出ましたとの事。結果は、通過できませんでした。通過した方、おめでとうございます。そして、勉強のためにこれからその6作品のトレース(図ではなくて考え方や表現方法について)させていただきたいと思います。

まず、作品「縁 -ふち-」について。


問題意識はちょっと自分の作品と似ている。「共有部分に対して住戸が閉じていて住民どうしの交流が生まれにくい。」つまりは団地としての良さを活かす事ができていないと言う発想の部分。ただし、こちらの提案ではプランが単一である点についても問題にしていて、1)住戸の一部を共同オフィスのようなこれからの時代に合った別の空間に転用している事と、2)世帯構成のバリエーションにも「動的に変化できるように」考慮している。

確かにそれは良いアイデアだと思う。そこまで頭が回らなかった。ただ、住戸前にできた「縁」の部分についてはちょっと疑問が無いではない。と言うのは、ここを管理するのが誰かと言う問題が生じる。住戸内から生活が縁部分にあふれ出すとするとそこの管理は縁に接する住戸の人がするのだろうか?うーん、そうであれば物置にされそうな気がする。階段を上り下りする人から見えるべきではないだろうか? もし既存の管理者側の管理であればこれはかなり負担が大きい。縁部分に何を置くか、子供がいる場合とそうでない場合でバリエーションを設けるか、入居していない住戸前の見え難い場所のセキュリティの確保はどうするか、といろいろ考えなければならないポイントがありそう。

パネルは具体的な実現例が多く示されていてとても分かりやすい。こうした点が自分には劣っている、と言うか、途中で投げ出そうとした時にスキルの欠けている点としてわかっていた事なのだけれど。勉強が必要だ。

細かい点で、気になる事は、1)住戸から縁に出る時のドアが外開きになっているけれども、機能的に大丈夫なのだろうか?これは自分のアイデアでは引き戸にしたところ。 2)住戸内のプランで最も外側に風呂を置いているけれど、排水管は床を転がして中央部分まで持って行けるのだろうか? この時代の団地の床下は狭いと思うのだけれど。このあたりは自分でやった事がないので本当に知りたい点だ。

ありがとうございます。


次は「「まちに風吹く、ソーシャルハウジング
~スターハウスからまちに活動のネットワークが連続する、ソーシャルキャンパス構想~」について
こちらも社会と住戸の関係について問題にしている点は同じだけれども、捉え方がポジティブでコロナの影響で住戸内で仕事や学習をするなどの「社会の要素が入り込んだ」事に対応すると言う姿勢をとっている。

そして「ソーシャルキャンパス」と銘打っている事からわかるように 1)比較的若年層にターゲットを絞っている事、2)団地の敷地から外にでてさらに広い地域的つながりを考えていると言う特徴がある。

実際にスターハウスに手を入れているポイントはこの図でわかるように床を一部抜いて段違いの吹き抜けを作っているところ。この位大胆な提案でも良かったのかと反省。実施する事を考えると製造業の者としてはどうしてもコストと対比してしまうし、それに「未来」がこのプランで100年先まで確定と考えられないからどうしてもできなかった。自分に自信が無いだけなのかもしれない。

気になる点は、1)ソフトウェアの負担がとても大きい事。クラウドファンディングでと言う記述はあるけれど、継続的な経営の視点が必要でどちらかと言うと建物よりそちらの方が大変ではないだろうか?何かノウハウがあるのかも知れないけれど。2)それと、たぶん例として描かれていると想像するが、スターハウスの中身のプログラムがきちんと決められているから本当に大学のように上手く決まりきったカリキュラムで運営しないと上手く使われないのではないかと言う懸念もある。これに近い案はよく自治体が団地等の再生と言う題で公開している資料にもあって、運用負担が大きくてNPOに頼るような事が書かれてありいずれもほとんど実現していないと言うのも現実。3)また、ハウジングとなっているけれど住む事に関しての言及が少ない点がちょっと気になります。逆に言うと、実現性よりも夢と想像力を先に行かせた方がこうしたコンペでも通るものなのかと思った。

ありがとうございます。


次は「大きなケヤキと囲い庭」について。
こちらは前者2つの案と完全に発想の基が違っていて、団地建設当時の良い住環境の中にある住戸の特性を肯定しさらに現代に合うように、そしてスターの形状特性を活かす形で調整している。その結果、1フロア3戸であったところを2戸に減らした提案になっている。

面白いと思う点は、1)文字で説明が無いのだけれど、各住戸が通路に接する点がホワイエとなっていて、絵でもガラスで住戸内が外から見えるようになっている点。言葉で書かないにしても他の住人達との関係をちゃんと意識して案にしている。言葉はコンセプトに集中して他はこうして絵が語るようにすると言うのは相当にスキルが高い、と羨ましく思う。2)それと、居室はバスをコアに配置して区切っているけれど、室内にはバスルームに入る以外のドアが全くない。一般的には子供が大きくなったらと言われかねないにしてもとても現代的に思い切りが良くて好ましいと感じる。

ちょっとだけ気になる点は、1)外壁にCLTを貼っていて建物の見た目にも気を使っていて見た目もとても良いけれど、住んでいる人からはあまり見られないかもしれないなと思う事。外から見た時にコンクリートの塊よりはずっと嬉しいしコンセプトにもぴったりなので良いとは思う。2)パイプシャフトが完全に無くなっていて代わりになるものが全く平面図上に描かれていないけれど、それは考えなくても良かったのだろうか?と言う疑問もある。部屋がドア無しであってエアコン等で電気の負荷も大きくなるしオリジナル状態で無かった通信線も必要になる事を考えると実際にはシリアスな問題になるのではないだろうか? と言うか、実施の可能性があるコンペでもそこを考えないで提出して良かったのか、とちょっと驚いた。

ありがとうございます。

後3つの案があるので、次の記事につづく。





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