今津康夫 / ninkipen!による、奈良の築50年の住宅を改修した、照明ブランドのオフィス兼ショールーム「NEW LIGHT POTTERY」
たまたまFacebookでarchitecturephotoさんのこの記事(2018年)が回ってきたので見せていただいた。この最初の写真が面白いなあと思ったからだ。この錆びたトタンの外壁がそのまま使われている。普通リノベーションする時にここまで錆びてしまえば外して別の外壁材に交換、と簡単に考えてしまうところ、それを活かして使っている。それだけでこの記事、ちょっと読んでみたいと思うわけ。
そうしたら中身はもっと面白かった。たぶん、ショールームに入ったところの床は基礎の高さまで下げて段差を無くしているのかな?(それとも元から土間だったのか?そんな風には見えないが。) それと、その土間っぽいところまで置く側から伸びていたのではないかと思われる梁を切ってしまって天井を屋根まで高くしているようだ。元は壁が付いていた柱は壁を取り除いてすっきり大きな空間にしたせいでポツリとそこに立っている風になった。いろいろな拘束から解き放って日本家屋が近代建築になっている。そこまでしても外形は追加されたトイレの部分しか変わっていない。なかなか面白い。
ちょっと違和感があるのは庇の裏側にエアコンのダクトやたぶん補強か何かを収めた部分が四角く囲われていて重い感じがするところ。でも、本当に面白い。
ちょっと話の方向は変わるのだけれど、最近の建築の傾向として出来上がりが「静か」だなあと思う。これはショールームだからもちろん他のものとは違うし演出としては狙いだろう。まあ、それは置いておいて、多くが「静か」だなと感じる。ちょっと前には定義のあいまいな空間のようなものが作られていてそこで異質なものどうしがぶつかり合う的なものがけっこうあったと思ったけれども、今はそう言うのは流行らないのだろう。建築を離れて昭和後期を思えばあの時代はもっとガシャガシャで普通にしていてもぶつかり合っていたと感じるのでずいぶんと時代は変わったなと、この作品を見てそう思った。
現代において本当には何が良いのか、と言う問いに対しては議論の余地があるのだろうけれど、さて、もし自分自身で自分の空間として作る上げるとしたらガシャガシャなのか、静かを選ぶのか?
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