「 野生のガラス」と言う事で、「野生」とはそもそのどう定義すれば良いのだろうかと、まず考え始めた。
1)自律的に生きている状態でなければならない。
個体としては誰かが常時補助しなければ生きていられない状態ではない。
2)何らかのシステムに組み込まれていなければならない。
野生動物は自然の中でその特異な役割を果たしているから環境もその動物も生きながらえている。孤立していては生きているとは言えない。
3)人が事情を理解している必要はない。
自然のシステムは人が作ったものではない。だからそのサイクルを人が管理している必要はない。
4)予測できない振る舞いをする事がある。
5)こちらに牙をむくかなつくかは不明。
次に考えたのはガラスの性質とは何か。
1)光に敏感である。
2)量産も手作りもどちらもし易い。
3)壊れる。永遠に存在しない可能性がある。
4)色付けする場合に金属の彩色剤を使う事が多い。温度プロファイルに敏感に反応し、出来が大きく異なってしまう。(技術的な話)
生産時の条件によって気まぐれ、日和見がある。
そして求められている「空間」への適用はどうするか?
いくら野生に生息すると言っても、ガラスは無機物であり実際に生きているわけではない。野生動物の性質をそのままガラスが引き継ぐことは難しい。そこで、逆から考えた。逆とは、ガラスによって空間を定義するとなれば、ガラス製の普通の建物になってしまう。そうなれば野生でも何でもない。動植物の真似をしてもそれた単なる彫刻か偽物動物になる。
だから、「人間が」空間を意識する状態をガラスの性質を利用して作り出す事にする。幸いにもガラスはセンシティブで、1日の変化する光によっていろいろに変わる。それを人が見てどう意識するか、もしくは意識しないか、意識してもそれが変化するようにする。どう意識委するかは「わからない」。野生だから。
さて、人が最も気にする事の1つは何か? それは「視線」だろう。
遅刻して会議室や教室に入った時、一斉にこちらを見る視線。その視線で人は素早くその場がどのような性質のものかを判断する。つまり心理的な空間がある。和やかな雰囲気に招かれる、拒否される、無視されるといろいろある。ドアを入って経験してみないとわからない空間がそこにある。
だからガラスでその「視線」を作る。その時の光の具合で印象が大きく変化する視線で空間を定義する事。
コンセプト「Eyes」
(この記事はリアルタイムでなく後日投稿しています。)
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